育てる

盆栽を手に入れたら、早速お手入れを始めましょう。手入れに必要な道具から置き場所、水やりの方法、肥料の種類と与え方、剪定、針金かけ、植え替えまで、盆栽を育てる際の基本をご紹介します。樹種によって実施する時期や必要なお手入れが少しずつ変わってきますので、最初に確認しておきましょう。

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道具

まずはコレから!最低限揃えたい道具

栽ばさみ

盆栽ばさみ画像

剪定に使用するはさみです。まずはこの1本があれば大丈夫。長く使うものなのでメンテナンスも忘れずに。

ンセット

ピンセット画像

はさみとともに使用頻度が高い道具。葉や草、虫をとったり、植え込み・植え替えの仕上げをしたりと、細かい作業に頻用します。後ろにコテのついた「コテつきピンセット」は、土を押さえるのにも使えて便利です。

ょうろ

じょうろ画像

はじめは園芸用の物で十分です。本格的に複数の盆栽を育てるようになったら、長い竿で水圧を安定させ、細かいハス口で霧のような水を出せる盆栽用のじょうろがあると良いでしょう。

植え込み・植え替えに必要な道具

底ネット

鉢底ネット画像

鉢の底に張り、土がこぼれたり虫が侵入したりするのを防ぎます。

金&針金切り

針金&針金切り画像

鉢底ネットの固定や樹形作りに使用する針金と、針金を切るはさみ。針金切りはペンチでも代用できます。

竹箸画像

根についた土を落としたり、新しい土を押し込んだりする際に使います。

入れ

土入れ画像

用土を鉢に入れるのに使用します。スコップや細長い容器類でも代用できます。

あると便利!少しずつそろえたい道具

摘みばさみ・小枝切りばさみ

芽摘みばさみ・小枝切りばさみ画像

盆栽ばさみより細かい作業に。芽摘みや細かい葉を切るのに便利です。

枝切りばさみ

又枝切りばさみ画像

太い枝や幹を切る際に使用します。盆栽ばさみよりも、元からきれいに切断することができます。

っとこ

やっとこ画像

針金を曲げたり伸ばしたりするのに使用します。ペンチでも代用できます。

コテ画像

土の表面を平らにならすのに便利です。大きい鉢のお世話に。

ゅろ箒

しゅろ箒画像

用土をならしたり苔をはったり、掃除にも使えます。一つあると便利です。

転台

回転台画像

手入れの際に盆栽を乗せて回転させます。様々な角度から確認でき、作業がしやすくなります。

置き場

風通しをよくし汚れがつくのを防ぐために、棚や台の上に置きます。棚などがない場合でも、板やござなどを敷くようにしましょう。熱で傷んでしまうことがありますので、コンクリートの上に直接置くのは避けます。

置き場画像
春・・・
暖かくなってきたら、日当たりが良く風通しの良い場所へ。日中室内で花を鑑賞したら、夜には外に出しましょう。
夏・・・
夏の強い日差しは、葉を痛めてしまう原因に。よしずやすだれで日陰を作り西日から守りましょう。風通しにも気を配り、鉢が複数ある場合は間隔を空けて並べます。
秋・・・
涼しくなったら日当たりの良い場所へ移動します。紅葉や実を室内で鑑賞する場合も、夜には外に出すなど工夫をしましょう。
冬・・・
雪や寒風を避けられる場所へ。日中の暖かい時間は、できるだけたくさん日を浴びさせましょう。

水やり(灌水)

日々の大切な手入れです。「乾いたらたっぷり」が基本ですが、乾き具合の判断に自信が持てないうちは、季節ごとの目安を参考にして水をあげてみましょう。その際は、鉢の中の水はけを良好な状態に保ち、根腐りを起こさせないように注意します。

水やり(灌水)画像
春・・・
1日1回。植物が育つ季節です。鉢底から水があふれるくらいたっぷり与えます。
夏・・・
1日2回。朝晩、水をたっぷり与えましょう。夕方には葉にも水をかける「葉水」を行い、葉の乾燥と葉ダニを防止します。
秋・・・
1日1回。乾燥しやすい季節です。鉢底から水があふれるくらいたっぷり与えます。
冬・・・
2~3日に1回。昼間の暖かい時間帯に行いましょう。

水やりのポイント

  • 鉢底から水があふれるくらいたっぷりと水をやりましょう。
  • 葉や花に水がかからないように、根元に水をあげます。一ヵ所に集中せず、まんべんなく回しかけるイメージで行いましょう。

毎日土に触れてみたり鉢を持って重さを感じてみたりすることが、乾き具合を把握する近道です。鉢の健康状態を確認する気持ちで、毎日丁寧に行います。

肥料

小さな鉢の中で植物を健康に育てるために、適宜肥料で栄養を補いましょう。肥料のあげ過ぎは、かえって植物を痛めてしまうことがあるので控えめに。

肥料画像

肥料の種類

固形・・・
基本の肥料。油かすなどを固めた有機質のものがおすすめ。水遣りのたびに肥料分が溶け出し、一定期間効果が持続します。盆栽の大きさに合わせたサイズを選びましょう。
液体・・・
即効性が期待できます。葉刈り前など、短期間で樹勢を付けたいときに使用します。土の上に固形肥料を置くのが難しい場合に使用することもあります。

肥料を与える時期

樹種により異なりますが、基本的に木が成長期に入る3~5月と、夏を過ぎ休眠期に入る前の9~11月頃。木が弱っている時は、施肥を控えます。

肥料の与え方

鉢の四方に、半分土に埋めるようにして置きます。苔に触れると枯れてしまうので、苔を避けるか、肥料を置く場所の苔を取り除きましょう。ナメクジや鳥に食べられるのを防ぎ、しっかりと固定してくれる肥料ケースを使うのも手です。

剪定

小さな鉢の中に大自然を表現する盆栽では、定期的に剪定を行い、樹形をコンパクトに保ち大木感や古木感を育てることが大切です。剪定を怠ると樹形が崩れ、一度樹形が崩れると再び美しい樹形を取り戻すには時間がかかります。日々よく木を観察し必要な剪定を行いましょう。なお、剪定の時期は樹種によっても異なります。特に花ものや実ものは、花や実を楽しむために時期が限られますのでそれぞれ手入れの時期を確認しましょう。

忌み枝・不要な枝を見極めよう

まずは「忌み枝」と呼ばれる樹形を乱す枝を覚えしまいましょう。忌み枝を先に整理してしまうと、その後の不要な枝の見極めが楽になります。基本的には元から切りますが、枝を減らしたくない場合は、切り詰めたり針金をかけたりして枝の向きを修正します。

忌み枝の種類

車枝画像

1ヶ所から何本も伸びる枝。1、2本を残して元から切ります。

差枝

交差枝画像

交差した枝。針金で修正するか、一方を元から切ります。

向き枝

下向き枝画像

枝から下に向かって垂直に垂れた枝。元から切ります。

さ枝

逆さ枝画像

枝の伸びる方向と逆方向に伸びた枝。針金で修正するか、元から切ります。

き出し枝(突き枝)

突き出し枝(突き枝)画像

木の正面から前に向かって伸びる枝。元から切ります。

える又枝

かえる又枝画像

カエルの脚のような形をしたU字に曲がった枝。針金で修正するか、元から切ります。

切り枝(腹切り枝)

幹切り枝(腹切り枝)画像

幹を横切る枝。

(かんぬき)枝

幹を貫くように左右または前後に伸びた枝。一方を基から切ります。

ち枝(上向き枝)

枝から上に向かって垂直に伸びた枝。元から切ります。

枝のつけ根から伸びた枝。元から切ります。

 

整理したい枝

いよく伸びる強い枝

徒長枝画像

成長期に1本だけ勢いよく伸びる枝。徒長枝とも呼ばれます。

りたい樹形を乱す枝

樹形を形作るのに不要となる枝です。一度切ると元には戻りませんので、慎重に見極めを。

 

雑木類の芽摘み・葉刈り

春に勢いよく伸びる芽や夏に向けて一斉に成長する葉を処理することで、第二の芽や葉を育て、小さく密度の高い美しい枝や葉を増やすことができます。

摘み

新しい芽がつきはじめる4月から7月頃、カエデやケヤキなどは8~9月頃まで行います。勢いよく伸びる新芽を手かピンセットで摘み取ります。摘み取った場所から、小ぶりな二番目の芽が生え始めます。また少し伸びてきたら、1節を残して摘み取ります。これを繰り返すことで、強い枝を排し細かい枝を増やし、密度の高い葉を育てることができます。

刈り

新葉が固まる6月前後に行います。葉の葉柄を残してすべての葉を切る全部葉刈りと、大きく育ったものだけ切りとり葉の大きさを揃える部分葉刈りがあります。葉柄が短いものは、葉を少しだけ残してハサミで切りとります。葉刈りを丁寧に行うことで、木の風通しもよくなり、また新しい健康な葉に生まれ変わり、秋には美しい紅葉が期待できます。

マツの短葉法

葉の長いクロマツやアカマツは、放っておくと葉が不格好に伸びてしまい、盆栽として美しく仕上がりません。そこで、枝や葉を短く保つ「短葉法」と呼ばれるお手入れを行います。芽摘み、芽切り、芽かき、葉すかしといった作業を行い、美しく整ったマツを育てます。

摘み

4月に新芽が吹き出したら行います。勢いが強く長く伸びた芽を摘み取り、芽の強さを均一化しておきます。

切り

芽摘みを行った後の6~7月頃に行います。再び勢いよく伸びてきた新芽を元から切りとり、二番芽を育てます。勢いの弱い二番芽で揃えることで短い葉が揃い、樹形が整います。芽切りを行う前には、肥料を与え樹勢をつけておきましょう。

かき

8~9月に行います。美しい二又を作るため、二番芽が3芽以上出ている場合に、2芽以下になるように芽を取り除く作業です。

すかし

11月頃、その年の新しい葉が固まったら、前年の葉をハサミで切り落とし葉の整理を行います。日当たりや風通しがよくなり、樹形も整います。

針金かけ

好みの樹形に仕立てたり樹形を整えたりするために、針金をかけて幹や枝の形や向きを修正することを「針金かけ」と呼びます。はじめから樹形を仕立てるのは難しいので、樹形の決まったものを手に入れて、少しずつ挑戦してみましょう。

針金かけ画像
針金の種類と太さ
銅製のものとアルミ製のものがあります。銅線は固く矯正力も強いですが扱いが難しいので、初めての場合は太めのアルミ線からスタートしましょう。幹や枝、それぞれの太さに応じて針金の太さも変えます。直径2.0㎜を中心に3、4種類揃えておくとよいでしょう。作業をする前に、巻く木の長さに対し1.5倍の長さに針金を切っておきましょう。
針金かけの時期と期間
松柏類は10月〜3月の休眠期に行います。雑木類も樹形が見えやすい休眠期の方が作業しやすいのですが、新芽を傷つけてしまうこともあるので、慣れないうちは芽が固まる梅雨の時期に行うとよいでしょう。幹や枝が太ってくると、針金が食い込んで木肌を傷つけてしまうことがあるので、様子を見て食い込む前にはずしましょう。
針金かけのルールと方法
太い幹や枝から細い枝に向けて巻いていきます。枝に対して45度になるように針金をあて、等間隔になるように巻いていきます。間隔が狭くなりすぎると、枝が曲げづらくなります。曲げる時に背になる方に針金があたるように巻くと曲げやすくなります。針金を巻き上げたら、手で少しずつ力を加えて枝を曲げていきます。

植え替え

根の整理を行うことで、根詰まりを防ぎ鉢の中をよい環境に保つと共に、木をコンパクトに保つために植え替えを行います。また植え替えの際に樹形を変えたり、形作ったりすることもできます。

植え替え画像
植え替えの時期と頻度
松柏類は3〜4月頃、雑木類は2〜3月頃に植え替えを行います。若木は毎年、成長のゆっくりな正木でも2〜3年に一度は行いましょう。
植え替えの手順
  1. 鉢底ネットを張った鉢を用意し、中粒〜小粒の用土を浅く敷き、固定用の針金を敷いておきます。鉢を大きくすると木も大きくなりますので、同じサイズのものを選びましょう。
  2. 木を固定していた針金を切り、鉢から株を抜きます。
  3. 根を傷つけないように竹箸などを使って、古い用土をきれいに落とし、根の絡まりをほぐします。
  4. 根を半分〜1/3ほどに切り詰めます。
  5. (1)で用意した鉢に株を入れ、高さや角度を調整しながら新しい用土を入れていきます。竹箸などを使って、土が根にまでしっかり入り込むようにします。
  6. 底から出した針金で、根元をしっかり固定します。
  7. 土の表面をならし、たっぷりと水をあげます。
  8. 苔を張って完成です。植え替え後は、1週間ほど半日陰に置きましょう。

鉢を用意する

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鉢を用意する1画像

あらかじめ、鉢底の穴に合わせてネットを切っておく

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鉢を用意する2画像

針金をUの字に曲げ、ネットに刺す

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鉢を用意する3画像

鉢の内側から底にネットを取り付ける

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鉢を用意する4画像

針金を外側に折り曲げ固定する